「イリス」は日本が舞台のマスカーニ7作目のオペラで、イリスとは「あやめ」のことです。日本舞台ですがプッチーニの「蝶々夫人」よりも前に作成されています。音楽は幻想的で美しいのですが、台本や話の展開が荒唐無稽なので、それを十分理解した上で見ないとなかなかつらいかもしれません。
「イリス」は江戸を舞台に、富士山の麓で盲目の父と住む娘イリスが騙されて、遊郭に売られていく物語なんですが、持ちで享楽的な若者が「オオサカ」、若い女衒が「キョウト」という名前だったり日本人からするとナンチャッテな台本ではあります。なお「イリス」では第2幕の「蛸のアリア」(北斎の浮世絵からインスピレーションを得たといわれているので、そのような名称で呼ばれたりする)が有名ですが、今回のアリアは第1幕で、イリス(ソプラノ)が「輝くきれいな水滴には命があるみたい」と歌うのとイリスの盲目の父の語りによる変則的な二重唱のものです。もっとも父親の方は語りなので、旋律的には独唱のアリアといえます。
今回のスコアはピアノ譜から起こしたもので、「Biblioteca d’oro」というリコルディから出版されたピアノ名作コレクション7巻のうちの3巻に載っているものを使用して、合奏用に自分で編曲したものを使用しています。このピアノ名作コレクションは有名作曲家から日本で無形の作曲家までいろいろ載っていて、名前を見ているだけで楽しいです。
吉原に売られていく話なので吉原の浮世絵を使用してみました。ただし、曲は吉原に売られる前の自然を賛美するものです。なお表題はイタリアで活躍したアドルフ・ホーヘンシュタインによるポスターです。
Pietro Mascagni 輝くきれいな水滴には命があるみたい – 歌劇「イリス」より
作成情報
作曲者 | ピエトロ・マスカーニ |
Composer | Pietro Mascagni |
曲名 | 輝くきれいな水滴には命があるみたい – 歌劇「イリス」より |
Title | Iris, Act1; In pure stille, gaie scintille |
作成年 | 2024 |
作成環境 | Cubase Pro 12 + KH Lyric String Quintet + Analog Lab V + Speldosa |
ファイル形式 | 16bit 44kHz flac lossless |
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