鈴木静一 劇的序楽「細川ガラシャ」

日々是音楽サイトも音楽再公開からほぼ1周年、ということで自分的には1周年記念曲のつもりで作りました。この曲も著作権の関係で、YouTube のみでの公開となります。

この曲は1968年にマンドリン合奏のために作曲されましたが、作曲者の鈴木静一氏は黒澤明監督の「姿三四郎」や「続姿三四郎」など数多くの映画音楽を担当されました。氏は1966年にマンドリンオーケストラに復帰し、数多くの名曲を残されています。

1960-1970年代の頃は現代音楽全盛期で、調性による古典的な曲はあまりクラシックの曲としては評価されず、劇伴音楽、映画音楽などに活動の場を移していたように思われます。しかし、結局のところ、その頃の現代音楽として作曲された曲は殆ど現在の一般の人々の記憶には残っておらず、映画音楽などのほうが記憶に残っています。クラシック音楽では特に交響詩などは死滅した分野ですが、この頃の交響詩としてはショスタコーヴィッチの交響詩「十月革命」とともに世界の最高峰ではないかと勝手に思い込んでいます(ちなみに交響詩の最高峰は、「火の山」「幻の国~邪馬台」との比較に悩むのですが、個人的には「失われた都」を至高としておきます)。その交響詩たちも手をつけてみたいですが、あまりに山が高すぎて絶望的ということもあり、世の中で流行中の「SHOGUN」の鞠子が細川ガラシャを元にしているということで、この曲を音にしてみました。この曲は劇的序楽と題されていて、前述の曲よりは少し規模が小さいですが、その雰囲気は伝えられるかと思います。

細川ガラシャは明智光秀の三女として生まれ、細川忠興に嫁ぎましたが、父光秀の謀反、秀吉亡き後の豊臣・徳川の争いの中で豊臣方に抗って侍臣に己を刺させて炎に身を投じたといいます。辞世の句は「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」

マンドリン畑の人ではこの曲を知らない人はいないと思いますが、なによりもクラシック畑の人に、あるいは伊福部昭氏や芥川也寸志氏の音楽を愛する人に、このような曲もあるのだと知ってもらえたらうれしい。

YouTubeでは細川ガラシャの関連の浮世絵などを使用しています。


鈴木静一 劇的序楽「細川ガラシャ」

作成情報
作曲者鈴木静一
ComposerSeiichi Suzuki
曲名劇的序楽「細川ガラシャ」
TitleHosokawa Gracia
作成年2024
作成環境Cubase Pro 12 + QLSO + Dione
ファイル形式16bit 44kHz flac lossless

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